【ル・マン完走までの物語】第3回

2014年6月22(日)【天馬天吉の今日の名言】

【ル・マン完走までの物語】第3回


■6月3日:

希望に満ちていた3月。

奈落の底に突き落とされた4月。

先の見えない5月。

そして希望の光が見えた6月。

いったい中野はここから何を

持ち帰ることができるのだろうか?


「希望に満ち溢れた若者のような心持で

久しぶりのイギリスに降り立ったのが3月の半ばだった。


WEC参戦という素晴らしい機会を得られた満足感、

そして緊張感、それら全ての感情が

僕のアドレナリンを大いに刺激していた。


それが今現在2014年の6月を少しばかり複雑な心境で迎えている。」

「そんな最高のスタートから一転、

奈落の底に突き落とされたのは開幕直前の水曜日だった。


僕が所属するチーム、ミレニアムレーシングが抱えている問題により、

急遽レースへの参戦を取りやめることになったのだ。


開幕2レースを欠場するばかりか、

この影響でルマン24へのエントリーも取り消されることになった。

まさに泣きっ面に蜂とはこのことだ。」



「いずれにしても僕は現地に行かなければと思っていたのだが、

ぎりぎりになってチームタイサンからテストデーを走らないかとのオファーを頂いた。」

「そして今こうして僕はルマンにいる。

僕は今年、このルマンから何を持ち帰られるだろうか・・・。」


■6月9日:2014年ルマン24時間耐久レースへの参戦が正式に決定いたしました。

ようやく発表できたル・マン24時間参戦。

中野の信念が通じたのだろう。チーム・タイサンの千葉氏も男だ。


「6月1日のテストデーで僕がマシンを走らせたチームタイサンから

急遽ルマン24参戦のオファーを頂き、

99パーセント不可能だと思っていたルマン24参戦が実現する事になりました!


最後の最後での大逆転に正直僕自身も信じられない気持ちです...。

ルマン参戦への一縷の可能性に賭けてルマンに滞在していた

僕にとってはこのオファーを断る理由もなく、

チーム・タイサンフェラーリと共に今年のルマン24を戦うことを決めた次第です。


元々参戦予定であったチーム、クラスではなく少し形は変わりますが、

それでもこうして苦悩の末、最後の最後に手に入れたチャンス、

チームと力を合わせて全力で戦う所存です。応援のほどよろしくお願い致します。

いよいよ僕のルマン24が始まります!」


■6月13日:予選

幾多の出来事を乗り越え、ようやく迎えたル・マン24時間の予選。

しかし、走りたい気持ちを抑え、チームプレーに徹する中野。その先にあるものは・・・。

「2人のチームメートと僕のタイム差が大きい為、

24時間の決勝に向けては彼らがマシンに慣れる事が最優先だ。

GTのマシンの経験が殆どない僕も走行時間を増やしたいところだが、

やはり大切なのはチームメートが確実に走れる環境を整えることなので

そこは僕が我慢するしかない。」

「参戦チームの中で唯一バージョンアップしていないマシンで

他の最新マシン達と互角に戦うのは難しいのだが、

今年こうしてぎりぎりのタイミングでルマンを戦えるチャンスをくれた

チームの為にも引き続き与えられた条件の中で最高の状態を引き出すべく集中したいと思う。」


■6月14日:レース前日

レース前日、中野の頭の中にはこれまでの苦労が浮かんでいたのだろうか?

それとも翌日のレースのことなのか、それともモータースポーツ文化についてだろうか。

「やっぱりなかなか寝れない。

(笑)今日の写真を見てたらすごく気に入ったのがあったのでツイートしてみました。

こうやって小さい頃から自然にモータースポーツに触れながら文化が育っていくんですね。

子供たちの前に出てくる自然な笑顔が本当にいいね。」