【ル・マン完走までの物語】第4回
2014年6月23(月)【天馬天吉の今日の名言】
【ル・マン完走までの物語】第4回
■6月15日:レーススタート
とうとう始まった中野のル・マン24時間。
台数が接近しているスタート直後、
そして雨が降る難しい天候を無事乗り切った中野信治。
マシンのセッティング能力と安定した走りはさすがだ。
「スタートドライバーをつとめました。
2スティント目の途中から突如雨が降り出し、
数台の車がクラッシュしてセーフティーカーランが続きました。
2時間半が経過したところでマーティンに交代。
いまは彼が走行中です。
ずっと安定していた天気が決勝日になって荒れ出した。
やっぱりルマンは何かあるね。」
■6月15日:レース中
「2回目の走行を終えました。
今回も2スティント、2時間の走行でしたが
車はトラブルもなく順調に周回を重ねています。
昨年は夜の走行が出来なかったので
久しぶりに夜のルマンです。
この時間帯は本当に何も見えない。
結構しびれる。
次の走行は恐らく夜中の3時半ぐらいなので少し休みます。」
■6月15日:レース中
「3回目のスティントが終わりました。
車のほうは特にトラブルなく引き続き順調に走っています。
しいて言えばドリンクボトルが壊れてしまって
走行中の水分補給が出来なかったぐらいかな。
ようやく空が白み始めて来ました。
ルマンのサーキットで迎える朝は格別だね。」
■6月15日:レース中
「僕の最終スティントを走り終えました。
あとはチームメイトが無事に走り切るのを見守るだけです。
このスティントで今回の僕のルマンでの
ベストタイムを出すことが出来て、
いい内容の最終スティントになりました。
あと2時間半!」
■6月15日:レース完走!
Twitterへ掲載した中野のコメント。
「長い長いレースが終了しました。
結果は無事クラス8位完走!
スタート前のドタバタを考えると望外の結果だと思います。
素晴らしいチャンスを下さったチームタイサンと
応援してくれた全ての皆さんに感謝いたします!取り急ぎ。」
いかがでしたか?苦境を決して諦めず、
わずかな希望を信じ続けた男のストーリー。
F1モナコGP、インディ500、そしてル・マン24時間。世界の猛者相手に、
世界3大レースを「戦わせてもらってきた」という中野信治。
一見、男が羨む王子様のような容姿と
F1まで行けた幸運の持ち主ということで、
見た目と経歴だけで判断すると、
苦労なんてしたことがなさそうな
イメージを持っている人も多いようですが、
実は服装にも興味なく、所有するクルマにも興味なく、
尋常ではないくらいレースにストイックで、
どんな逆境が襲ってきても決して諦めない
すごいレジリエンス(再び起き上がる力)の持ち主だ。
中野信治のレース人生を見ていると、
人間の精神力はどこまでも強くなる、
自分を信じて決して諦めるな、
世界に挑戦せよ、
そんなことをレースを通じて伝える役目があるのかもしれません。
「偶然の幸運」
試練を乗り越えル・マン24時間を完走した中野は、
この大好きだという言葉に、
どんな深い意味を見いだしたのだろうか?